相続対策

相続税とは


相続税とは、亡くなった親などから、お金や土地などの財産を受け継いだ(相続した)場合に、その受け取った財産にかかります。

 相続税は、財産を相続した場合に必ずかかるわけではありません。具体的には、相続した財産の額から、借金や葬式費用などを引いた後の額が、基礎控除額を上回るときに、相続税がかかります。基礎控除額以下であれば相続税はかからず、申告の必要もありません。名古屋国税局管内について言えば、相続税が課税されるのは亡くなられた方のうち、11.9%(令和3年)との申告事績が出ています。

 

 亡くなった人の10人に1人?というと、自身は関係ないと思われる方もいるかもしれません。しかし、相続が発生した時に問題になるのは、「税」だけの問題ではありませんし、その手前の贈与については、もっと身近にあるお話だと思います。

贈与税とは ~相続税の補完税~

 贈与税とは、生きている人から財産をもらった時にかかる税金

 相続税とは、亡くなった人から財産をもらった時にかかる税金

 です。生前に贈与することで相続税の課税を免れようとする行為を防ぐという意味で、贈与税は相続税を補完する役割を果たしています。

 

 その役割が令和5年度税制改正で、より明らかになったように思います。

令和5年度税制改正

令和6年1月1日以後に受ける贈与について次のような改正がされました。(財務省HPより)

暦年課税相続財産に持ち戻される期間を相続開始前3年間から7年間に延長

 贈与税の申告時において毎年110万円の基礎控除。超えた部分に累進税率。

  基礎控除額以下の場合は申告不要。(現行と変更なし)

 相続開始前7年間の贈与は、全額相続財産に持ち戻される。

  ただし、延長4年間に受けた贈与については総額100万円まで持ち戻さない             

  7年を超える期間の贈与は持ち戻さず、暦年贈与による課税で終了。

 

相続時精算課税制度…110万円の基礎控除を創設

 贈与税の申告時において毎年110万円の基礎控除(特定贈与者分)及び選択してから死亡まで2,500万円の特別控除額。超えた部分に一律20%課税。

  基礎控除額以下の場合は申告不要。

 選択してから死亡までの贈与は、全額相続財産に持ち戻される。

  ただし、毎年110万円までの部分は持ち戻さない。

  

 

令和5年度の税制改正を受け、相続税対策については、より早い時期から考えていく必要があるように思います。

3つの相続対策

 いざ相続がおきた場合に問題となってくるのは、相続「税」の話だけではありません。

岡部会計事務所では、相続対策として次のようなことをお勧めしています。対策は相続がおきてからでは限られたものしかありません。ぜひ、相続がおきる前の事前の相談をご依頼いただけたらと思います。

1.争続(相続)対策

 残された家族が財産の分け方で争うことになると、相続税どころか、裁判費用など、もっとお金がかかることになってしまいます。円満に相続を進めることが、一番お金がかからない方法です。相続が争続にならないような対策が必要です。

 

  エンディングノートの作成

   法的効力はありません。それ故に、葬儀の方法から財産の内容、残される家族へのそれぞれの思いなど、自由に書くことができます。遺言書を作るのはハードルが高いと思われる方も、まずは、エンディングノートを書いてみてはいかがでしょうか。

  

遺言書の作成

 財産の分け方を法的効力のある形で残します。

自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言がありますが、岡部会計事務所では、公正証書遺言をお勧めしています。

 公正証書遺言は、公証人が遺言書を作成しますので、形式が整っていないことで無効になるリスクを減らせます。また、遺言書の原本は公証役場に保管してあるため、遺言書の紛失や改ざんの恐れもありません。

 遺言書を書かれると、「これで安心だ」というお客様の声を聞きます。

 

 相続人関係が複雑な場合や、お子様がいない場合などは、ぜひ遺言書を作成しておくと良いと思います。

2.相続税対策

  相続「税」対策は、早めに考えることが何よりも効果的です。

 

  贈与対策

   令和5年度の税制改正を受け、贈与による対策は難しくなってきました。

   それでもやはり、早めの対策を行うことで、税効果は高いと思います。

   相続税シミュレーションと並行して進めることがより効果的です。

  

贈与税の特例の利用

 贈与税には、住宅取得資金の贈与や、居住用不動産の配偶者への贈与など、様々な特例があります。人生の節々で大きな財産を分けたいときは、ぜひ利用していただきたいです。

   

相続税シミュレーションの作成

 

 実際に相続がおきた際にどれくらいの相続税がかかるか、シミュレーションをして おくことで、心構えが全く違ってきます。その後の対策方法も見えてきます。

3.納税対策

 どんなに土地や有価証券といった財産があっても、納税は現金一括納付が原則です。

  相続税対策とともに、納税資金をどのように準備するかも大切になってきます。

 

  生命保険の加入

   死亡保険金には相続税の非課税枠がありますので、相続税対策という意味でも、死亡保障のある生命保険に加入するメリットがあります。

また、生命保険を掛けることで、受取人に間違いなく現金という財産が残るという効果があり、納税資金として利用することができます。

 

財産の売却

 

 財産の中で現預金の割合が少ない場合、土地や有価証券を売却してお金に換えることも必要になってきます。相続財産を、相続後一定期間内に売却した場合、取得費加算といった特例もありますので、相続財産の売却に関しても、ぜひご相談ください。